烈火の月 [小説]
2007年1月6日発売!
本日、小学館の編集担当の方より、
来年1月6日発売の
sample を受け取りました。
どこよりも早く皆さまに
ご覧いただきたく掲載いたしました。
文庫化に伴い、本来なら野沢自身が行う
ゲラのチェックや
細かな事務手続きなどに携わり
この作品にかけた
野沢の思いを感じることが出来ました。
今回、小学館の文庫担当者さんにも
初めて
お会いさせていただきました。
そして、当時『烈火の月』を書くにあたり
野沢がこめた思いを
伺うことができ、本当に嬉しかったです。
こうして慣れないながらも、1つ1つ仕事を
こなしながら、
かつての野沢の思いや、
仕事に取り組む姿など、私の知らなかった
部分を知ることは、何よりの
喜びです。
そんなepisodeを伝えてくれる
素敵な出会いが
私に頑張る勇気と自信をくれます。
これからも多くの皆さまに
野沢作品を知っていただけるように
頑張りたいと思います。
the moon in a fury [小説]
今回レビューを書くにあたり、どの作品が良いかと話し合いこの『烈火の月』に決めましたが、正直私はあまり気乗りがしませんでした。
実はこの『烈火の月』は私にとって苦手な作品でした。それはあまりに描写がハードで、当時の私には理解も共感もできなと思ったからでした。どうしても人が死んでいく描写や性的な描写に抵抗感があって・・・。
この『烈火の月』が発売になり、野沢から「ちょっと苦手かも知れないけど・・・」と言って渡されたときに、ざっと読んで当たり障りのない褒め言葉で終わらせてしまったことを今も後悔しています。いつだって読み返せるし、いつだって感想言えるって思っていたから・・・。この本の発売5ヵ月後にもう二度と感想を言えなくなるなと分かっていたらどんなに苦手だと思っても一生懸命に読んで感想言ってあげたかったです。そして主人公の我妻諒介に対してどうしても分からないところを聞いてみたかったです。ただただ残念です。
レビューを書くために改めて読み直してみました。数日間をかけて読ませていただきましたが、やはり今の私が読んでもハードすぎる内容でしたが、一言一句大切にしっかりと読みました。もしかしたら、読み手としてはまだまだかも知れませんが、今の私が思って感じたことを書かせていただきました。
第一章のオープニングで強烈なキャラクターの主人公、我妻諒介が登場しますが、微笑みながら正体ないまでに人を痛めつける凶暴な人物。どうして彼をそこまで凶暴にしているのか・・・。私にはまだ十分に理解できていませが・・・。我妻は急激な人口増加で犯罪多発地区として認定された千葉県愛高市(架空の市)の刑事。過剰なまでの暴力とルール無視の捜査で犯人を検挙しているが、犯罪は一向に減らず雨後の竹の子のようにつぎつぎと発生する。同署の刑事や警察官からは浮いた存在になっていた。そんなある日、徳吉克巳という麻薬の売人が殺害され、その犯人を捕まえるべくおとり捜査に出た我妻は、同じ目的の人物を探す麻薬取締官(マトリ)、烏丸瑛子と出会う。どこか似たところのある2人だった。売人徳吉の死はこの物語のプロローグに過ぎなかった。徳吉の死をきっかけに、犯人に迫ろうとするたびにトカゲの尻尾きりのように、多くの人間が謎の死をとげる。我妻も烏丸も共に押しつぶされそうなほど巨大な権力を持った敵と戦っていく。
最後に烏丸瑛子が決断したことは本当に正しかったのか・・・。すぐには理解できませんでした。ただ、もしこんな決断ができたらすごいなと思いました。と同時に私だったらどうだろうと考えてしまいました。きっと私はそこまでの根性はないかもしれません。でも、烏丸瑛子だったらきっとこの決断が正しかったと証明できる人生を送ることでしょう。この作品で野沢が言いたかったことは烏丸瑛子があえて苦しい道を選び生きていこうとする姿を通して、人はどんなことがあっても、どんなに辛くても、頑張って生きていかなくてはいけないということを言いたかったのだと思います。我妻諒介の決断も決して楽なものではないけど、それでも、頑張って生きていくしかないのでしょう。人は誰一人として一点の曇りもない人生なんて送っていないのだと思います。私を含め、みんな何かしらの辛さや悲しみを抱えて生きているのだと思います。でも、人はどんなに辛い人生でも頑張って自分の人生を生きないといけないと思います。いつもそう言っていた野沢自身の行動はいまだに信じられません。
今回『烈火の月』を新たに読み直してみて感じたのは、ものすごくたくさんの取材をしたのだろうということでした。以前はそんなことを考えもしないで読んでいました。例えば警察のシステムや拳銃の種類、その取り扱いや実際に使ったときの状況に関する細かな情報、また麻薬の種類、薬物によってどういった症状になるか、体験した人の感覚までも。それに人の体はどの様に朽ち果て死に向かっていくのかなど、見てきたかのようにリアルに書かれていました。本当に細かく丁寧に取材して勉強し書き上げたものだと思いました。実際資料として残っているものもたくさんありました。脚本を書くときにもそうなのですが、登場人物を細かく描き、まるで実在の人物かのように錯覚をしてしまうほどです。
最後に大袈裟かもしれませんが、この『烈火の月』は今の日本を象徴しているように感じました。最近テレビのニュースや新聞でも、凶暴な事件や異常な犯罪が多く、どうしてしまったのだろうと思うことがあります。一部であると思いますが、子供の手本となるべき大人たちも堕落し、分からなかったら何をしてもいいといったずるさや、自分さえ良ければいいといった感覚が蔓延しているように思います。自分の良心はどうしてしまったのでしょうか・・・。
みんな何となく感じている閉塞感や将来への漠然とした不安感はありませんか?
私が幼かった頃の日本はまだ将来への希望もあったように思います。
今の子供たちにとっての希望は何なのでしょうか・・・。
やはり今の日本は少し病んでいるように感じるのは私だけでしょうか。
この作品を読んで下さった皆さまに・・・。ちょっと青臭いかも知れませんが、人生どんなに辛いことがあっても必ず乗り越えられるしきっとそれと同じくらいの幸せがあると信じて輝いた人生を過ごして欲しいと願っています。
ステイ・ゴールド [小説]
~ステイ・ゴールド~
数年前に絶版になっていたこの作品を、もう一度出版するに至った
経緯は・・・。
この作品に登場する少女たちと同じ年頃を迎えた我が娘のために、
父親の書いた作品を読んで欲しいと思ったことがきっかけでした。
近年の野沢作品は、娘には少し過激で難し過ぎますが、この作品は
12歳の少女たちが永遠の友情を求めて旅をするストーリーです。
野沢版スタンドバイミーといった感じでしょうか。
今の娘には、テーマも年齢もぴったりの作品です。
この作品のメッセージを、そして、作品の中に生きる父親を感じて
くれたら・・・。
理由はそれだけでもなく、私自身へのエールでもあったのです。
今私は41歳です。
永遠に44歳のままの野沢の年齢を超える日が来ます。
その日を迎えることへの戸惑いがありました。
今もあります。
でも、この少女たちのように頑張って、自分の人生を生きていける
ように、時折読み返したいと思う作品です。
いろんな思いのなか、新しく幻冬舎さんより、出版させていただくことに
なりました。