「シュート・ミー」公演スケジュール [舞台]
野沢尚SNSで『シュート・ミー』の公演スケジュール(日時)のお問い合わせがありましたので、公式サイトでもご案内いたします。
【上演時間】
9月 1日(火) 19:00~
2日(水) 14:00~ / 19:00~
3日(木) 14:00~ / 19:00~
4日(金) 14:00~
5日(土) 14:00~ / 18:00~
6日(日) 14:00~
7日(月) 14:00~
8日(火) 14:00~ / 19:00~
9日(水) 14:00~ / 19:00~
10日(木) 14:00~
11日(金) 14:00~ / 19:00~
12日(土) 14:00~ / 18:00~
13日(日) 14:00~
以上、20公演です。
野沢尚公式サイトのTOPページのこのバナーをクリックしてください。
公演サイトへ移動できますので、合わせてご確認ください。
「シュート・ミー」舞台化 [舞台]
野沢尚原作小説『殺し屋シュウ』がこの秋に舞台になります。
2009年9月1日~13日まで銀座博品館劇場にて公演されます。
これからも随時詳細をお知らせしてまいりますので、お楽しみに。
すでに小説をお読みになられた方はご存じかも知れませんが、シュウのもとに転がり込んだ奇妙な7つの依頼をそれぞれ短編としてまとめた作品集です。
今回はその中の1編「シュート・ミー」が舞台化になります。
まだお読みでない方はこの機会に原作『殺し屋シュウ』を読まれてはいかがでしょうか。
『ふたたびの恋』 カクテル・≪続き≫ [舞台]
≪続き≫
次の注文はカクテルではないのですが・・・『シェリー酒』。
澤田がかつて愛した女性と、手に手をとって、南へ南へと駆け落ち。その話を熱心にメモを取りながら聞き入る晃一。そこへ新子が入ってくる。入れ違いにbarを後にする晃一。
晃一はいなくなり、新子と澤田だけになる。
新子・・・・・・冷えたシェリー酒があれば。
澤田・・・・・・ティオペペがございます。
6番目のカクテルは晃一が注文した『ソルティードック』①
晃一・・・・・・2月はどこも不景気だよね・・・(飲み物を考え)グレープフルーツ・ジュースに
ウォッカをちょっぴり垂らしてもらおうかな。
澤田・・・・・・ソルティードックでよろしゅうございますね?
晃一・・・・・・うん、何となく塩漬けの犬って感じで・・・・(読み終えたスペンサー・シリーズ
に悪態)もうお前とは決別だ。お喋り探偵め。
新子が注文したもう1つの『ソルティードック』②(ハーフムーン・スタイル)
新子・・・・・・助けてほしいの、わたしを。
その言葉の意味を考えた後、晃一はバーの入り口を見やる。
澤田も警戒の眼差しで、
澤田・・・・・・誰か。よからぬ者が?
晃一・・・・・・有名人狙いのストーカーか?
新子・・・・・・違うの。そんなんじゃなくて・・・・・・。
晃一・・・・・・ ・・・・・・・。
新子・・・・・・(気を落ち着かせようと)何飲んでるの?
晃一・・・・・・ソルティードック。
新子・・・・・・私もそれ頂戴。
澤田・・・・・・かしこまりました。
新子・・・・・・ただし!・・・グラスの縁のスノー・スタイルだけど、半分にしてほしいの。
なぜかって言うと、塩味なしで飲みたいときがあるから。
どんな時でも、酒の注文だけは細かい。
澤田・・・・・・ハーフムーン・スタイルですね。
7番目のカクテルは『グリーンアラスカ』
澤田・・・・・今夜はお2人にふさわしいカクテルを作って差し上げましょう。
シェイカーと酒瓶がカウンターに置かれる。
澤田・・・・・・ドライジンを4分の3(入れる)グリーンシャルトリューズを4分の1(入れて)。
カラカラと精根込めたシェーク。
カクテルグラスに注ぐ。ほのかな緑色。
澤田・・・・・・その名はグリーンアラスカ。生まれは1920年台のロンドン、スピリッツは
男、リキュールは女。相性のよさとシンプルな組み合わせが真骨頂の、最強
のカクテルでございます。
舞台に光が満ちる。
すでに晃一と新子はストーリー作りを始めている。澤田が2人に酒を。
虚構と現実が交差して終えたシナリオ作りの翌日。
8番目のカクテル『マティーニ』と『スイート・マティーニ』
晃一がカウンターで飲んでいる。とびきり辛いマティーニだ。
澤田・・・・・・ ・・・あれから逢木様とは?
晃一・・・・・・顔を合わせていない。午後プールサイドのあっちにいたけど、お互いセッショ
ンする気分じゃなくて、通りすぎた。
澤田・・・・・・今晩中にストーリーを完成させないと、逢木様はお困りになるんじゃないです
か?
晃一・・・・・・どうでもよくなってきたよ。どうせ新子の仕事だ。あとは自分で考えろって突き
放してやろうかな。
<中略>
飲み干して、おかわりをもらう。
晃一・・・・・・ベルモットの種類を変えて、スイート・マティーニにしてもらおうか。
澤田・・・・・・ヤワな飲み方になりましたね。
晃一・・・・・・まったくだ(と苦笑)
次はカクテルではなく、『シングルモルト・ウイスキー』
シングルモルト・ウイスキー。グレンファーグラス。
澤田はふたつのグラスに氷を落とし、チェ―さーの水も用意して、カウンターを
後にする。
澤田・・・・・・室生様。お願いがあります。
晃一・・・・・・ ・・・・・・・・。
澤田・・・・・・お2人のドラマで、どうか私を泣かせて下さい。数々の隠れ家であなたのドラ
マに泣いて以来、私はテレビドラマを見て泣いたことがありません。彼女も同
様のはずです。どうか私たちの心を揺さぶって下さい。
9番目のカクテルは『ギムレット』せっかく2人で作り上げた原稿を破ってしまう・・・・・
晃一・・・・・・(澤田に)祝杯になりそうにないが、最後に、彼女と飲みたい酒がある。
澤田・・・・・・はい。
晃一・・・・・・ギムレットを、俺たちに。
澤田はその酒の意味を悟る。
澤田・・・・・・ギムレットには早すぎる・・・・・ですか?
晃一・・・・・・ ・・・・・(頷く)。
澤田・・・・・・レイモンド・チャンドラの小説、確か題名は・・・・・・。
晃一・・・・・・長いお別れ、だ。
10番目のカクテルは『 ? 』です。本には名前がないのですが・・・。
ベースはウォッカ。そしてアプリコットリキュール。伊予柑の果汁。仕上げに伊予柑の皮を
さっと絞る。
以上。10種類のカクテルをご紹介しました。いかがだったでしょうか?
それぞれのカクテルに、物語の思いを込めながら、心温まるラブストーリになっています。
(私には男の友情も垣間見えました^^)
ところで、最後のカクテルの名前を募集してみたいのですが・・・・・。
この本を読んでいただき、またはDVDをご覧いただき、皆さまが感じた最もふさわしいと
思う名前、お願いします。
『ふたたびの恋』 カクテル [舞台]
野沢作品の中にはよくカクテルが登場することにお気づきでしょうか? カクテルを作るのも飲むのも好きだったこともあると思いますが、野沢自身はお酒があまり強くなく、少量でも顔が真っ赤になってしまうタイプでした。ですから、よけいにカクテルが好きだったのでしょう・・・量よりも味や香りを少しづつ楽しみ、ネーミングの由来などに思いを馳せていたのではないかと思います。
そこで、『ふたたびの恋』の中に出てくるカクテルをご紹介したいと思います。
芝居の中で10種類くらいのカクテルを実際に作るのですが、それが役柄の感情にオーバーラップしていますので、カクテルと共にまつわる部分の台詞も載せてみました。
ここに紹介したカクテルを飲むときに、この物語を思い出していただけたらと思います。
まず一番最初に出てくるのが、野沢自身が一番好きだった『ジントニック』
かつての有名脚本家、室生晃一がsunset-barで最初に注文したものですね。
材料【ドライジン、トニックウィーター】
次に、昔の恋人でシナリオ学校の教え子、今や売れっ子シナリオライター、逢木新子が
注文した『ジンリッキー』
晃一・・・・・・・・・・・・・・・・きっとジンリッキーを注文すると思うんだ。
澤田(バーテンダー)・・・・ほう。それはまたどうして。
晃一・・・・・・・・・・・・・・・・ベースが同じ酒で、俺よりちょっと辛めのものを頼むんだ。変に
対抗するんだよ。 しかも注文がやたらと細かくてね。バーテン
泣かせの客と言えるんじゃないかな。
澤田・・・・・・・・・・・・・・・・バーテン泣かせ(と聞くとファイトが湧く)ならば、イギリス・ジンよ
り濃厚でコクがあるオランダ・ジンを使わせていただきましょう
か。
材料【ドライジン、ライム・ソーダ】
3番目は、食事まで少し時間をもてあました晃一が注文した、甘めのカクテル『シンガポールスリング』トロピカル風。
澤田・・・・・・・・・・・・・・・一般のホテルでよくお飲みになるのは、サヴォイ・ホテルで改良
されたものですが、ラッフルズ・ホテルで作られたオリジナル・レ
シピはトロピカル風でございまして。
晃一・・・・・・・・・・・・・・・・どう違うの。
澤田・・・・・・・・・・・・・・・・ジンとチェリー・ブランデーにレモン・ジュースそしてソーダここま
では同じですが、オリジナルではフランス最古のリキュール、
ベネディクチンとパイナップル・ジュースが加わり、グレナデン
シロップ、コアントロー、アンゴスチャビターズをワンプッシュ。
晃一・・・・・・・・・・・・・・・・うまそうだ。じゃ、トロピカル風で。
材料【ドライジン、レモンジュース、ソーダ、チェリーブランデー】
4番目のカクテルはsunset-barのバーテンダー澤田がかつて愛した女性がいつも注文していたカクテル『キス・オブ・ファイヤー』
澤田・・・・・・・・・・・・・・・・午後11時、彼女が最初に注文するのは、いつも同じカクテルで
した。キス・オブ・ファイヤー・・・・・スロージンは、炎の色。女の
情念の色です。
晃一・・・・・・・・・・・・・・・・・飲んでみたいね。
澤田・・・・・・・・・・・・・・・・・それでは・・・・・。
材料【ウオッカ、ドライ・ベルモット、スロー・ジン、レモン・ジュース、砂糖】
《続きは次回に・・・・》
「恋人たちの短い夜」 [舞台]
あなたは今、幸せですか・・・・・
もし私がそう聞かれたら、
私は隣にいるこの最愛のひとの手を握り締め、
今もこれからも幸せですよ、
それはヒヤシンスのような恋を経て、
スベスベした肌に触れ、
相手の瞳に何百倍もの自分を見つけ、
手を取り合って天井を歩く幸せですよ・・・・・
そう答えたいのです。
「恋人たちの短い夜」より
とても素敵な台詞だったので・・・・
『恋人たちの短い夜』は、’93に野沢が初めて舞台脚本を書き、大竹しのぶさんと役所広司さんの2人芝居で公演されました。この舞台は大竹さん、役所さん、野沢でお酒を飲みながら「こんなお芝居がしたいね」からスタートしたものでした。舞台の脚本は野沢にとって本当に嬉しかったようです。作品を見てくださる人たちの反応を生で感じ、ほんの小さな笑い声や、涙してハンカチを目に当てる姿を目の当たりにして自分のやってきた仕事に対して手ごたえを感じた瞬間だったと思います。
いつか再演が叶ったらもう一度見てみたいですね・・・・。