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『素晴らしきかな人生』 [ドラマ]

2月8日ブログ記事の素晴らしきかな人生へのコメントが多かったので今日はこの作品にふれてみたいと思います。
1993年に野沢がある紙面でコメントしたものを掲載します。


『新しいドラマの世界は自分で開拓』

二度目の連ドラは家族の解体がテーマ

―――今度のドラマで書いてみたかったことは?
「家族の解体の話がやりたかった。今、不況で、お父さんが早く帰ってきて、鍋の時代とマスコミは言って、ホームドラマが流行ったりするんですけど、どこかでそれはマスコミの目くらましというか・・・・・・。むしろ経済的に貧しくなって、家庭崩壊のドラマが片方で起きてる筈なのに、そういうことは全然言わないで、家族の時代だと言っていることは、嘘っぽいなと。
 家族が壊れるもんだとしたら、どういう壊れ方をすればいいのか、壊れて幸せになるみたいな人間のあり方みたいなものを、もうそろそろドラマでやらなきゃと思っていた。
 去年『親愛なる者へ』では、夫婦というものは死ぬまで連れ添ってみて、どっちかが死んだときに、お互いの愛情が確認できる。だから、とにかく最後まで連れ添ってみなくてはいけない、そういう男と女の関係が夫婦なんだ、というテーマで描いたんですけど、今回、その教えを守らずに離婚した夫婦を登場させて、彼らがもう一回幸せになるために、どうあがいていくのか・・・・・そういう話をやりたかんですね」

―――家庭の解体を否定的に見るのではなく・・・
「一人一人が自立していく話。家族を幸せのベースに置くってことじゃなくて、個人をベースに置く人生というか」

―――テレビドラマの世界でも(家族)の話が盛んですが、それに対する1つの提示ですか。
「ええ、具体的にいえば、『並木家のの人々』って、大好きなドラマですし、尊敬する池端先生の作品ですけども、ある意味あれのアンチテーゼをやりたかった。集まってくるんじゃなくて、解体していく話を」

―――今回のドラマは、野沢さんのペースで思う存分書けてるわけですね。
「(前略)古典的で大上段に振りかぶった題名なんだけど、これを1つの人生劇ととらえてみたらと思ったんです。
 人生というのは悲劇と喜劇と紙一重で起こって、シリアスであるとかコメディーであるとか決めがたいものがあると思いますから。例えばアメリカ映画の『ガープの世界』みたいにああいうタッチのものって日本になくて、人間というものを俯瞰して見るような、非常に滑稽なものとしてとらえたり、哀しいものとしてとらえたり、それを人生劇という三文字でコンセプトにすればいいんじゃないかということで、構想している段階で納得できた。
 今思うと”幸せ探し”みたいなものが、テーマになってるような気がする。
 僕は、幸せとか人生とかの言葉を、台詞の中で使うのを非常に照れた時期があって、人生わかんないのに人生って書いていいのかなと。それが最近、特に幸せって言葉、あいまいで訳が分らないからこそ、連呼することで日常を生きてるんじゃないかという気がしてきた。あいまいなものとして喋ってれば、効果的な言葉になるんじゃないかと。この作品も幸せという言葉がキーポイントになってるとこあるんですよね。『幸せを見つける』という言葉が何回も出てくるんですけど。それを言わないと生きていけない人間の弱さであるとか、おかしさみたいな事が描けるんじゃないかと思って」


当時野沢尚33歳、懐かしさでいっぱいです。
新しいドラマの世界を開拓することへの情熱を感じます。脚本に対しても小説に対しても、最後までその情熱は忘れていませんでした。


2007-02-13 02:31  nice!(3)  コメント(8)  トラックバック(0) 
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コメント 8

夏目家の人

このコメント 読んだらすぐ消していいです。
ずっと気になっていたので、関係者としてアドバイス
申し上げます。
H・ネームは持ってますが、名乗ると消しにくいと思い
匿名にします。それでは本題。

「プロフィール」欄の1985年、本来 「脚本家」と書くべき
ところ、「脚本化」と誤字表記では?
職業を間違えては父君に対して面目ないと思い ご連絡
した次第。 どうぞ悪く取らないで下さい。
by 夏目家の人 (2007-02-13 07:20) 

野沢

そうですね^^
全体のシステム及び構成はソネットの方に全データを渡して作成してもらったので打ち間違ったのでしょう。私も他のスタッフも確認したはずなのに気づかないとはダメですね。すぐに訂正の依頼をいたします。ご指摘ありがとうございました。
by 野沢 (2007-02-13 10:01) 

phin

野沢さん、はじめまして。phin と言います。
最近になって本ブログの存在を知りました。とても素晴らしいブログですね。
私は、本ブログをきっかけにして野沢尚さんの作品を読むようになりました。本ブログを作成していただき、非常に感謝しております。もし、本ブログの存在を知らなければ、多分野沢尚さんの作品を読まないまま一生を過ごしたかも知れません。危ういところでした。素晴らしい作品を紹介いただき、感謝の言葉もありません。

『素晴らしきかな人生』のインタビュー記事のコメントから、新たな世界を開拓するという野沢尚さんの気概がひしひしと読み取れます。ひとかたならぬ情熱をお持ちの方だと言うことがとても良く伝わります。
33歳の時の作品ですか……今の自分に照らし合わせてみれば、恥ずかしいという気持ちと同時に、何故か勇気がわいてくるのが不思議です。
それでは今後も頑張ってください。
by phin (2007-02-13 20:42) 

野沢

phin さま
コメントありがとうございます。感謝だんなてこちらこそ、感謝です。
野沢亡き後でもこうして作品を手に取り読んでいただけることは本当に嬉しいことです。作品の中に野沢の思いやメッセージが残っています。そして、人生困難に出会ったときには勇気をくれるし、迷ったときには答えをくれます。そして何より作品を読むと人に優しくなれるんです。野沢自身が本当に優しく人を悪くとらえない人間でした。そんな人柄が作品の中にあるのだと思います。
by 野沢 (2007-02-13 22:43) 

rio

ここにくることが、しあわせな日課になりそうです♪
「素晴らしきかな人生」私が野沢作品に目ざめた1作目です。
当時青森に住んでいたため、リアルタイムで放送を見ることが出来ず、友人にビデオ録画したものを送ってもらって見ていました。
何回も観たため、画像がヨレヨレになっていますが、今でも押入のビデオケースに入っています。
野沢尚作品の回想(思い出部分)のセピアカラーが大好きです♪
私のブログに、このHPをお気に入りとして貼り付けさせていただきました。今後も、野沢作品を一緒に語らせてくださいね♪
by rio (2007-04-01 12:40) 

野沢

rioさま
コメントありがとうございます。
そうですね^^ 野沢作品は回想シーンが効果的に使われていますよね。私も好きです。
結女さんの”ひと夏の恋”は印象的でしたね。
自分の青春時代を思い出させてくれました。残念ながら、あんなに激しい恋はなかったですが、それでも大切な思い出はありました。
きっと皆さまも^^
by 野沢 (2007-04-02 00:22) 

Sho

実はこちらの作品は、通して拝見していないのです。2、3回拝見しただけで。こういう状態でのコメントをお許しください。
このドラマに、とても惹かれます。「素晴らしき哉、人生」は(句点がはいりますよね)昔のアメリカの映画ですね。昨年初めて見ました。
その題名と、ドラマの雰囲気は、一見かけ離れたように見えながら、実は合致しているのだと思っていました。
野沢さんがインタヴューで語っておられるように、「人生は悲喜劇に満ち」「悲劇を裏側から見れば喜劇で、喜劇を違う角度から見れば悲劇である」と私も感じます。
そして、その人生が他者から見てどんなに悲惨なものであろうと、やはり「素晴らしき哉人生」なのだと思います。

もう最近では、「見たい!」と思うドラマはめったになくなってしまいました。作り手も、(全てとは言いませんが)流されるままに作っているように感じてしまいます。
野沢さんが脚本を書かれていた時期も、様々に規制やきまりごとはあったと思うのですが。
いつか通して拝見したいと思っています。
by Sho (2007-07-17 16:19) 

野沢

shoさま
放送をご覧でなかったとは少し残念です。
このくらい古いものはなかなか再放送もないと思うので・・・・・。
DVDなどは存在してなかったし^^;VHSなどでの発売もなくて
本当に残念です。
フジテレビさんが発売しないかな・・・・と願うばかりです。
by 野沢 (2007-07-17 22:37) 

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