映画館に休日のサラリーマン、きたる① [「映画館に、日本映画があった頃」]
映画館に休日のサラリーマン、きたる①
5月某日。あれはシナハンでNECを見学した後、監督やプロデューサーたちと京王プラザホテルのレストランでお茶を飲みながら話していた時のこと・・・・・・・
脚本は2度目の印刷本になっていたが、僕も監督も、あの頃は、島耕作というキャラクターをどう大掴みしてよいのか考えあぐねていたように思う。
島耕作とは一体何なのか。
誰かがそう問い掛けた。
派閥に加わらず、ふわふわ風まかせで会社の中を漂っている男。女絡みで窮地に立だされると、必ず女の方から救いの手を差し延べてくれるラッキーな男であることを島耕作本人は自覚しているのだろうか。自覚していないとすると、この男、あまりにイノセントで、不気味ですらある。
そこで仮説を立てた。島耕作の不気味さとは、世界から見た日本人の不気味さではないだろうか。
毎日あくせく働くのは、お金が欲しいからじやありません、仕事が好きなだけです……貿易摩擦で非難し、日本人の勤労意欲を畏怖する世界の人々に対して、我々は苦し紛れにこう言い訳をする。
島耕作とは、日本人の代表選手なのではないか。
大袈裟に言うと、これは現実の日本人についての映画なのだ。
・・・・・・んな風に考えた時、僕は、原作者の弘兼憲史さんからお借りした島耕作という人間を自分の懐に引き寄せられる、とっかかりを見つけたような気がした。
>続く
2008-01-23 16:05
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