『ひたひたと』 [小説]
第二話 『ひたひたと』
2人目の告白者です。河野加寿子(こうのかずこ)、39歳と10ヶ月。
この告白を男性読者はどの様に読み取るのでしょうか。私は女性ですから当然女性の感覚で読み取るのですが、もしかしたらこの作品は男性読者と女性読者とでは少し違って感じ取る部分があるのではないかと思いました。
この『ひたひたと』は前章の「13番目の傷」とは違った意味でとても怖いと思いました。人間の奥底にあるものとでも言ったらいいのでしょうか・・・。誰にでもあるかも知れない・・・気がつかないでいるかのも・・・。
(いつものように短編でミステリーなのでストーリー詳細は書けないのですが・・・)
出版当時、主人公は私と同い年でした、それに共通項がたくさんあって、つい自分だったらなどと考えながら読んだことを思い出します。
例えば、独身時代に活動していたエリアが渋谷だったり、結婚後、住まいが東急東横線沿線だったり、細かな部分では、夫婦二人の共通の趣味がDVD鑑賞だということも同様です。きっと野沢は仕事半分で見ていたから私ほど楽しんで見ることはできなかったと思います。それでも美味しい赤ワインを飲みながらDVD鑑賞をして作品について語り合う時間はとても楽しい時間でした。
この作品も他の作品と同様に、自分たちの生活の一部を文中に織り交ぜながら書いたのでしょう。野沢作品を読むときに、今では私だけが知っている二人の思い出を再確認することができます。
まだそれが悲しみと感じるときも多くありますが、いつか懐かしい思い出になると思います。いつか薄れてしまう記憶ではなく、こうして文字として残っていることへ感謝します。
共通テーマ:本
主人公が加寿子ですから、男の私でも女性の立場で読みました。
もう一方の人物は、私には同様の経験がないし、性格的な違いがあるので、あの立場に立つことは難しいですね。
『ひたひたと』も『13番目の傷』も、「継承される何か」がテーマになっているのでしょうか(これ以上は言えません)。
特徴としては、それまでの野沢作品で「ぎりぎり留まっていたある一線」が両告白では突破されている気がしますが、その理由も知りたいところです。
by がっさわら (2007-04-10 14:19)
そうですね・・・(苦笑)
確かに『ひたひたと』の主人公は女性なので女性の目線で読まれたと思います。
ですが、男性読者だったら、主人公と関わる男性側から物を考えたりしませんでしたか?
私は女性なのでそちらの方が気になりました。
『13番目の傷』に関してはきっと誰も経験できないことだと思いますが、男性の性とか弱さやずるさのようなものを感じながら読みました。
と同時に、人が話す言葉の真実や、人の本質を完全に理解することの難しさも感じました。
人生を大きく後悔しないほどの見落としだったらいいですが・・・・・。
by 野沢 (2007-04-10 18:53)
I read Mr Nozawa's book, hitahitato for the first time and was very impressed. I didn't know anything about him as I live in London. I'd like to read more books although it is difficult to get them here.
He is a great auther.
by keiko (2007-09-09 17:34)
Ms keiko
Thank you.
A message from the U.K. is very happy.
by 野沢 (2007-09-10 13:48)