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『リミット、もしも、わが子が…』第10話<あらすじ> [ドラマ]

『リミット、もしも、わが子が…』 <あらすじ>

第10回 『海の道を行け』

 暴風雨で揺れる漁船。檻の中では、新入りの2人の子供が恐怖で泣き叫んでいる。貴之が励ます。
 智永が桟橋にやってくる。グレイ・ウォンに「篤志と泉水は?」と訊く。
 まだ来ない。

 群馬県の病院。片野坂や曽根たちがやってくる。保護されたあゆみを香澄が抱きしめるが虚脱状態。彰一は出血多量で、危篤状態にある。
 曽根があゆみに、「どこに閉じこめられていたの?」と訊く。何も答えられないあゆみ。白石が彰一の言葉を伝える。

 白石リメンバー。「白石、警察にちやんと伝えてくれ。婦人警官の息子を誘拐することを思いついたのは、あの女なんだ・・・・」と言った。「あの女って誰ですか」と白石が訊いても、彰一はそれ以上喋ることができなかった。

 病院の廊下。曽根は手配をする。公子を「逮捕」ではなく「保護」せよ、と。
 あゆみは専門の精神科にまかされる。
 廊下で香澄と片野坂が2人だけになった。「あの婦警に・・・子供を返してやろうと思う」と片野坂が言う。「もう遅い。わたしたちの手の届かないところにいる・・・でも、その心境の変化は何なの?」と香澄。
 公子と共に子供を取り返すことができれば、自分は変われる気がする・・・・と片野坂は言う。

 傷だらけの公子が嵐の中、山を越えようとしている。
 
 病院の廊下。香澄が悟る。「今はあの婦警を愛しているってこと?」
 その時、あゆみの病室で動きがある。
 精神科医の質問にあゆみが反応した。「クジラ・・・」と呟いた。
 あゆみの脳裏に、ぼんやりとした映像が浮かぶ。
 漁船から外に出された時、船着き場に鯨のマークの旗があった。

 激しい風にあおられながら、ふらふらの公子が闇路を行く。

 翌朝。台風一過。抜けるような青空。ラジオのニュースによると、台風は速度を上げて日本海を駆け抜けた。
 船着き場のロングウォークで智永が待っている。篤志と泉水はやって来なかった。「女デカにやられたんだ」とグレイ・ウォンが言う。
「・・・なら、あの女はここに来る」と智永。
 グレイ・ウォンは、子供を中継する蛇頭の船と無線で連絡をし、コンタクトの場所を決める。
 その時、智永の胸に吐き気がこみあげる。最近になって体の変.調を自覚している。ひょとしたら・・・と思う。
 妊娠したのかもしれない。我が子を追い求める公子を初めて理解できた。

 病院の廊下。鯨の旗とは、ヨットマリーナの印。新潟近辺に建設中のものも含めて数  箇所ある。曽根と片野坂はそれぞれ新潟県警のパトカーに乗って急ぐ。
 見送る香澄。片野坂の視線と交錯する。これが本当の別れだ。

 泥だらけの姿で、公子が船着き場にやってきた。ショットガンの弾丸を見る。あと一発。視界の彼方に漁船が一艘、停泊している。あそこに貴之がいるのだ。
 桟橋のロングウォク。柱の陰に智永が潜んでいた。漁船にはグレイ・ウォンも銃を持って潜んでいる。
 公子が桟橋にやってくる。智永が物陰から現われて、公子と対峙する。
 「息子を返して・・・・私が身代りになる・・・・」
 智永は銃を捨てるように言う。公子はかなぐり捨てると、「貴之!」と叫ぶ。

 檻の中で母の声を聞いた貴之は信じられない。そして「お母さん!」と叫び返した。

 桟橋で息子の声を聞いた公子、動物的本能で走り出す。ロングウォクを獣のような勢いで駆けてくる公子に、智永が一発撃つ。公子は足を撃たれて倒れる。
 公子と智永は格闘になる。
 グレイ・ウォンは女2人の対決を尻目に船を出す。智永を気限った。
 去って行く船を見て「グレイ・ウォン!」と叫ぶ智永。ロングウォクを走りながら、タガが外れたように漁船に撃ちまくる。
 公子はショットガンを拾って、智永を撃つ。散弾は智永の体をかすめて、智永は海へ落下する。
 公子は沖に出た船を捕まえようと、海沿いを走る。

 片野坂が新潟県警のパトカーでやってくる。傷ついた智永が海を漂っているのを発見、桟橋にあげる。
 新潟県警の警官は無線で報告しようとするが、片野坂は拳銃で殴りつけて昏倒させる。
「そもそも、お前たちが香澄を引きこもうとしなかったら、こんなことにはならなかったんだ」
「あの婦警が、あなたと楢崎香澄の関係に気づいたら、どうするつもり」と智永。
 公子は片野坂を許さないかもしれない。その時は彼女の罰を受けるつもりだ。法の裁きではなく、公子の裁きなら受けられそうだ。
 片野坂はパトカーに乗って公子を探しに行く。智永は傷ついた体を引きずって、この場から逃走する。

 日本海沖。グレイ・ウォンは蛇頭の船と連絡を取り、沖で接触しようとしている。

 鯨仏の町。片野坂がパトカーで流しながら、公子を探す。
 漁港で見つけた。沖に出てくれそうな船を探している。公子の凄絶な姿に漁師たちはひるんでる。
 片野坂がやってくる。公子は銃を購えるが「船を見つけてやる。一緒にこい」という意外な言葉を片野坂の口から聞いた。

 ヘリポート。燃料補給をしようとしていたヘリコプターに乗りこむ公子と片野坂。
 操縦士に銃を突きつけて。
 船を追って、空を飛び立つ。

 船着き場。曽根たちのパトカーがやってくる。頭を押さえた警官が、片野坂が犯人らしき女と接触した後、自分を殴ってどこかに行ってしまったと話す。
 曽根は愕然。片野坂は犯人グループとつながっていたのか。

 海上を飛ぶヘリ。海面に目を凝らす公子と片野坂。操縦士が燃料がわずかであることを伝える。

 調布南署の捜査本部。片野坂が犯人を逃がし、自分も逃亡した・・・という報告に、益岡は血の気が引く。「一体どうなってるんだ・・・」

 日本海沖。密入国者が乗り込んでくる。空になった蛇頭の船に、貴之たち子供3人が積みこまれる。
 その時、上空にヘリの音を聞いた。
 海上を飛ぶヘリ。船を発見した!
 しかし操縦士はこれ以上飛べないと言う。貴之を目前にして引き返さなければならない辛さ。警察に連絡をすべきか。
 蛇頭の船がもし警察に追われたら、子供をすぐに始末するだろう。公子と片野坂は独自に追跡するしかない。「同じ海の道を行くしかない・・・・」

 蛇頭の船の上。ヘリは去っていく。
 貴之はそこに母が乗っていると直感した。グレイ・ウォンがお母さんにさよならを言え」とせせら笑う。去り行くヘリを貴之は涙で見送る。
 そして船倉に閉じこめられる。
 グレイ・ウォンはこのまま海岸に戻れば、警察に捕まることが分かっている。密入国者に船を渡して、蛇頭の船に同乗する。

 新潟駅構内。智永が傷の痛みを堪えながら、新幹線に乗ろうとしている。
 テレビのニュースを見る。あゆみの誘拐事件がやっと報道された。捜査一課の婦人警官の息子も誘拐されたこと。更に、郡内で2人の子供が行方不明になっていること。あゆみを助けようとして、父親の楢崎彰一が犯人一味に撃たれ、危篤状態にあること。そして、犯人グループの若いカップルが山中で死体で発見されたこと。
 篤志と泉水の死を聞き届け、智永は憤怒を秘めて列車に乗る。

 地元やくざの事務所。片野坂と公子が銃を手にして押し入る。
 地元やくざが蛇頭と結託して、密入国者を運んでいることは察しがついている。船と、船を操縦できる人間を求める。
 漁師くずれの老やくざが「どこまで追ぃかけるんだ、タイまでか・・・?」と2人を見た。どこか面白がっている口調で。

 群馬の病院。彰一が息を引き取った。
 曽根は彰一が白石に言い残した言葉が気になっている。
「あの女」とは誰のことなのか。片野坂が船着き場で接触した犯人は、確かに女だったそうだが・・・。
 死体で発見された冨家医師は、あゆみの主治医だった。冨家が犯人一味だったとすると、九条物産から身代金が出ることを計算して、あゆみを誘拐したことは明らか。
「亡くなった旦那さんが犯人一味と裏取引をしていたことは、白石さんの証言で明らかになっています。奥さんはご存知なかったんですか?」
 香澄はひたすら被害者を演ずる。曽根は、この女には何かある、と睨んでいる。
 あゆみが父親の遺体にとりすがる。「パパ・・・助けてくれてありがとう」

 坂田の操縦する漁船。公子と片野坂が、遥かなる『海の道』を行く。
 途中の島で何度か燃料と食料を補給する。タイまで5日かかる。蛇頭が立ち寄りそうな島を坂田は知っている。   
 坂田は公子の傷の手当をする。

 蛇頭の船。船倉に閉じ込められた貴之は、他の子供たち2人を勇気づける。
「僕のお母さんがきっと見つけてくれるから・・・・」と。

 夜の海を行く漁船。片野坂は舵の取り方を坂田から学び、交代で船を操縦する。
 操縦席に公子がやってくる。「・・・まだお礼を言ってなかった。ありがとう」
 しかし、片野坂がどうして警察組織をはみだしてまで自分に協力してくれるのか、公子は理解できない。
「俺自身もよく分からない・・・」と片野坂が苦笑する。
 犯人一味の黒幕は楢崎彰一だったと公子は思っている。まだ香澄と片野坂のつながりを疑ってはいない。
 片野坂は、この旅は自分の死に場所を探すような道行きに思えてくる。「あんたの亭主は無駄死にではなかった。あんたという強い警察官を育てたんだから・・・」と片野坂。

 成田空港。智永がタイ行きのチケットを取った。妄執でぎらぎらした眼差し。公子の先回をしようとしている。 

 調市街署の捜査本部。公子と片野坂が新潟の地元やくざの許に押し入り、海に出たことまでは突き止めた。
 沿岸警備隊の網にも引っ掛からなかった。2人は完全な密航者となっている。
 マスコミが会見場で、手ぐすね引いて益岡を待っている。

 カンカン照りの太陽が漁船に降り注ぐ。片野坂と公子が缶詰・食事を取りながら、語り合う。
 片野坂はかつて、3ヵ月ほどタイにいたことがある。県管内で起こった保険金殺人事件。その犯人がタイに潜伏していることが分かり、現地の警察官と協力して捜査した。
 片野坂は酒場に通って、犯人が現われるのを待ち続けた・・・。

 片野坂リメンバー。 ひたすら犯人を待っている片野坂。その視界に、1人で酔い潰れている香澄の姿を見た。痛々しいほど寂しげな女だった。
 いつしか一緒に酒を飲むようになる。子供の学校が終わる時間になると、香澄はふらつく足取りで酒場を出ていく。
 片野坂の常宿。香澄を抱いた。そこにグレイ・ウォンが訪ねてくる。片野坂に協力して情報を売っていた。
 グレイ・ウォンは、ベッドの中にいる香澄を見た。
 ある時、グレイ・ウォンが片野坂に囁く。「あんたの恋人は九条物産の商社マン夫人で、孤児院でボランティアをしている。彼女を協力させて、何人か子供を調達できないだろうか・・・・」と、片野坂に金を握らせる。
 夜中、孤児院から子供を運び出す。香澄が手引をし、グレイ・ウォンの車に乗せる。物陰から片野坂が現われる。子供は臓器に小分けされる運命だ。
「・・・地獄の果てってやつを、一緒に見てみないか」と片野坂。
 香澄との激しい抱擁。
 いつもの酒場。彰一に本国勤務の辞令があり、香澄は家族と共に日本に戻ることになる。「普通の主婦に戻ろうと思うの・・・」と安定しようとしている香澄に、片野坂は置き去りにされる。
「奥さんとの離婚は決まったの?」「やっと離婚届を出しそうだ」
 片野坂の妻は、片野坂の部下と関係してしまった。妻は復縁を望んでいたが、片野坂は離婚届に判を押して渡し、タイにやってきた。
 片野坂と香澄、別れの時。
 そこに、潜伏中だった保険金殺人の手配犯が現われる。片野坂は1人で立ち向かう。犯人が銃を手にした時、すかさず射殺した。
 香澄は片野坂の激情を目の当たりにして、棒立ちだった。

船の甲板で、記憶に浮遊している片野坂。公子には彼の心の内が分からない。
 タイの地はまだ遠い。公子は甲板に立ち上がり、海の彼方を見つめる。


つづく


2009-08-31 22:35  nice!(2)  コメント(0)  トラックバック(0) 
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