映画館に翔ぶ赤い風船の謎【1】 [「映画館に、日本映画があった頃」]
映画館に翔ぶ赤い風船の謎【1】
話は91年の1月に遡る。
深作監督と丸山さんの脚本作りがある停滞状況にあった時、たまたま僕のホンがあった。
暴動に包囲された警察署を舞台にした24時間のアクション・ドラマは、監督の食指を動かしたようだ。丸山さんのホン作りは続行している中、僕のホンも拾われ、改訂作業も始まった。
早い話、この時点で、その年の夏にインする深作作品は『両天』状態にあった。
3月の末までに僕は第3稿まで進み、製作準備に入ろうとしていた。問題は暴動を描くためのロケセットで、立川の米軍施設跡を使えば、このホンのスケールを実現できるという現場の見通しがあった。ところが、施設が突然取り壊されることになって、計画は暗礁に乗り上げた。
そこで丸山さんのホンが完成した。監督はそっちに動いた。かくして僕のホンは棚上げになり、映画『いつかギラギラする日』は完成まで突っ走ったのである。
あの時、もし立川のロケセットが使用可能であれば、この秋には別の深作アクションがスクリーンに展開していたのかもしれない。
深作さんが北海道で凄まじいアクションを作っている、あまりに予算がかさむため、製作を請け負っているライトビジョンは経営の危機に瀕している……91年下半期における映画屋さんの話題は、どこでも10数年ぶりの深作アクションで持ちきりだった。
その頃、僕は東映の工藤組で苦闘が始まっていた。深作さん、工藤さん……倍近く年齢の違うこの大ベテランの監督だちと仕事ができたことに、僕は至福を感じた。
お2人とも一筋縄ではいかないオッサンだった。テクニックでぶつかったら勝てない。体育会系の熱意でしか突破できない気がした。自分がデビューした当時の、未完成であってもゴツゴツした『引っ掛かり』のあるホンをぶつけてやろうと思った。
僕にとって91年は、ベテラン達との腕力勝負で明け暮れたような気がする。
>>>続く
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初めまして。
いつもブログを楽しく読んでます。
あたしも将来は脚本家になりたく勉強中です♪
又、読みに来ます♪
by アイラ (2008-01-09 19:50)
アイラさま
コメントありがとうございます。
脚本家を目指してるのですね^^
頑張ってください。
by 野沢 (2008-01-10 13:16)
岸田法眼さま
nice! ありがとうございました。
いつもブログを読んでいただいてるようで、とても嬉しいです。
これからもよろしくお願いいたします。
by 野沢 (2008-01-10 13:18)